【伊藤 巧】B.A.S.S. バスマスターエリートシリーズ初挑戦の記録

 2020年、子供の頃からの大きな夢であったアメリカ最高峰の大会「バスマスターエリートシリーズ」へ参戦することができ、年間9試合を終えて、最終成績は23位という結果を残す事ができました。今回は、新型コロナウイルス感染症の影響など多くの障壁がありながらも色々なドラマがあった2020年シーズンのバスマスターエリート参戦について振り返りたいと思います。

 まず、僕が長年の夢に掲げてきた「バスマスターエリートシリーズ」とはどういう大会なのか? 一言で表すと「アメリカ最高峰のトーナメント」と呼ぶに値します。2019年に、バスマスターが主催するトーナメントのなかでも「オープン戦」と呼ばれる下位カテゴリの大会に参戦した僕は、年間成績で4位となったことで、トップカテゴリであるエリートシリーズへの昇格権を獲得する事ができました。エリート戦となると賞金も多額となり、トーナメントのみで生計を立てるプロフィッシャーマン達が集まる大会となります。そんな精鋭選手88人が年間で全9試合を戦い、上位40名には最も栄誉ある大会「バスマスタークラシック」への参加権利が与えられます。また、プラクティスと呼ばれる練習期間も、オープン戦では制限なく自由にできていたのですが、エリート戦では直前のわずか3日しかできないルールなので、3日間でエリアを見つけ出して結果を出さなくてはなりません。アメリカ参戦2年目の僕では、経験値も技術もベテラン勢に大きく劣るため、かなり厳しい環境となります。


 そんな憧れの舞台での第一戦は、フロリダ州セントジョンズリバー。聞く情報によると、日本人の多くが苦手とするらしいフロリダ地区での試合でした。セントジョンズリバーが未経験というだけでなく、温暖な地域で、クセも強いフロリダ地区での試合も未経験な僕は、真ん中にあたる45位を目標に望みました。
しかし、この時期特有の強い北風により、スタート2日が連続キャンセル。急遽2日間予選+1日決勝というイレギュラーなスケジュールで開催されました。
 試合が始まると、連日の北風によるタフコンディションでバイトは遠く、初日のお昼時点でキャッチできたのはフロリダバス1本のみ。ここで、日本でも多用しているパワーフィネスの釣りを投入して、房総のリザーバーで習った釣りを展開し、リミットメイクに成功。2日目は朝からパワーフィネスでのカバーアプローチが当たり、20本以上のバスをキャッチに成功! 2日間で21位という結果に。20位までが決勝進出権利を獲得できるので、惜しくも予選敗退となりましたが、自信につながる大きな一歩を踏み出す事ができました。

 第二戦からは新型コロナウイルス感染症の影響による延期が続き、2月を予定していた試合も6月まで延期に。そして迎えたアラバマ州ユーファウラレイクでの試合。この試合も得意のパワーフィネスをメインで組みますが、バスのパワーが想像以上でミスを連発し、42位で予選敗退。

 ですが、ここから快進撃を巻き起こします。
第3戦から5戦までのセントローレンス、シャンプレーン、セントクレアレイクの3連続スモールマウス戦を全てTOP10フィニッシュに成功。ほぼ全ての魚をエコギアアクアという匂い付きワームでビッグフィッシュに口を使わせてキャッチに成功。年間成績も一時はROYレースで首位に立つ事ができました。

 しかし、ここからが厳しかったのです…。
 それは、秋のラージマウス戦2試合。ガンターズビル、サンティークーパー、チカマウガレイク、レイクフォークと、全てがフロリダバスをメインとするフィールドで、アメリカでの経験値の無さを痛感させられました。ライバル達は連日グッドウエイトを出しているのに、僕はリミットすら揃えられず、悔しい結果に。全試合を終えた時点での年間成績は23位という結果でフィニッシュしました。ただ、年間成績で上位40名の選手には栄誉ある大会「バスマスタークラシック」への出場権利が与えられますので、今年6月に開催予定のテキサス州レイロバーツのクラシックに参加できます。

 2021年シーズンのエリート戦と合わせて、クラシックにも全力で望みますので、皆様ぜひ応援を宜しくお願い申し上げます!

伊藤 巧